座卓とは
座卓とは、床に座って食事や団らんをする際に使うテーブルのことです。
座卓の構造
座卓は、天板に脚をつけて固定しています。床の上に座って使用するため、脚が短く、床から天板までの高さは30〜40センチのものが一般的です。天板は、長方形、正方形、円形など様々な形があります。
また、天板に蒔絵が描かれていたり、天板の脇に彫刻が施されたりした装飾性の高いものもあります。
座卓の歴史
<江戸時代:食事は膳で>
江戸時代までの日本では、家の中でも厳しい階級制度があったため、家族が同じ食卓につくという習慣はなく、床の上に一人ずつ用意された「膳」で食事をしていました。このため、江戸時代までは、座卓といっても、お経を読むときに使う「経机」(きょうづくえ)や勉強に使う「文机」(ふづくえ)などが中心でした。
<明治時代:西洋のテーブルと融合>
明治時代になって四民平等が実現すると、西洋風の食事のスタイルが受け入れられるようになりました。そして、西洋から入ってきたダイニングテーブルと、座って食事をするという日本古来のスタイルが融合し、今日のような座卓・ちゃぶ台が生まれました。
座卓は、平等の観念が比較的早く浸透した都市部の労働者階級から徐々に広がりました。その後、商工業者、農村へと広がっていきました。
明治の中ごろには、脚を折りたためる座卓が考案されました。食事をする時だけ座卓を出し、普段は壁に立てかけておくスタイルは、狭い家で暮らす日本人にとってとても便利でした。
<昭和に本格的に普及>
座卓・ちゃぶ台が本格的に広がったのは、昭和に入ってからのことです。昭和30〜40年代には家族で座卓を囲んで食事をする、というスタイルがすっかり定着。座卓を囲んで一家団らんを楽しんだり、家族みんなでテレビを見るという光景が、戦後の高度経済成長の象徴になりました。
座卓の役割
<日本人の生活スタイルにマッチ>
座卓は、「床に座る」という日本人ならではの生活スタイルにマッチした家具です。ダイニングテーブルで食事をする家庭が増えても、座卓は根強く支持されています。最近では、食事用というよりは、ちょっとお茶を飲んだり、夫婦でだんらんをしたりといったシーンで使われることが多くなっています。
<和の風合いを楽しむ>
座卓の多くは木製で、杉、桐など高級素材が使用されることもあります。座卓は、木目、色、香りなど木の風合いを楽しみ、和を演出するという効果があります。 |